月の砂漠をホーリーボルト

コメントがつくと喜ぶ
 
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『よつばと!』第7話 よつばとおおあめ
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 広がる雨雲を見上げながらのよつばのセリフ「ふーかー みろ!! くもみどりいろだ!!」。風香はよつばが指さした方向を見るが、雨雲よりも先に干しっぱなしの洗濯物に気づいてしまうので、みどりいろに対しては反応しない。しかし、わしには"みどりいろのくも”が気になる。それは何色なんだ。
 一般的に緑色といえばグリーンのことだが、まれに青色を指すこともある。後者は、青信号がじつは緑色であることをひっくり返したような使い方だ。また、"緑の黒髪"のような、つやのある黒色を示すこともある。雨雲の色としては、"緑の黒髪"の用法に近いと考えるのが自然かもしれないが、発言したのが5歳児のよつばであることを考えれば、かえって不自然になってしまう。



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| 『よつばと!』感想 | 23:44 | comments(2) | trackbacks(0) |
『よつばと!』第6話 よつばとせみとり
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 いしかわじゅんのコラムを読んで『よつばと!』をコミック専門店に買いに行ったときは、タイトルを覚えていなかった。だもんだから店員にこう言った。「『あずまんが大王』の作者のマンガで、『なんとかと』って題名のマンガはありますか? なんとかの部分には女の子の名前が入って、最後にビックリマークがつくんですが」
 いい歳ぶっこいたおっさんのセリフとしては甚だ情けない。ひとり目の店員には何のことだかわからなかったようで、別の店員に助けを求めていた。わしが恥ずかしいセリフをもう一度言うと、店員2号は「ああ、『よつばと!』ですね」と即答。わしも、「そうそう『よつばと!』、『よつばと!』」と連呼して、1巻と2巻を買うことができたのだった。
 そのときの店員2号が発したの"よつば"のアクセントは"くじら"と同じだった。わしも心のなかで"くじら"と同じアクセントと思っていたので違和感はなかったのだが、いま思えば"くじら"ではなく"ゴジラ"のアクセントで読んでいる人もいるはずだ。だから何だというわけでもないが、オフィシャルのアクセントが気になる部分ではある。
ついでに言うと、タイトル中の助詞"と"の意味をわしは誤解していた。『よつばといっしょに』の"いっしょに"部分が省略されたものだと思い込んでいたのだ。英語ならwithにあたる"と"だ。しかし、表紙をすこし注意して見ればこの作品の英語タイトルが"YOTSUBA &!"だとわかり、"と"=andだと知らされる。同じ"と"でも、withにほんのりと漂う情緒的なニュアンスがばっさり切り捨てられて、andはただの並列または付加という関係しか示さない。でもこのへんの乾いた感じは、この作品にとても似合っていると感じている。
 もう一点、"!"をどう読んでいいものかがわからない。わしは"!"を無視して、"よつばと"と呼んでいて、完全に無視するのもひどい気がするもんだから最後の"と"にこころもち力を入れることにしている。しかし英語タイトルを読むなら"ヨツバアンドエクスクラメーション(マーク)"しかなく、"!"を無視するわけにはいかない。こう考えると、日本語でも"よつばとビックリ(マーク)"と呼ぶべきだろうか、などと益体もないことを考えてしまうのである。


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| 『よつばと!』感想 | 23:22 | comments(4) | trackbacks(0) |
『よつばと!』第5話 よつばとかいもの
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 この回は、風香がテレビのリモコンをとーちゃんに届けに行く場面から始まる。とーちゃんが買い物に行くために家を出るところでふたりが出会うのだが、そのシーンがやや不自然と感じたので触れておこう。
両家の正面から見れば、小岩井家が左、綾瀬家が右にある。風香は右の綾瀬家から左隣の小岩井家にやって来る。しかし、ふたりが出会うコマでは、小岩井家の門扉を内側から押し開けたとうちゃんが右、右側の綾瀬家から来たはずの風香が左にいるのである。風香が左にいるのは、小岩井家の呼び鈴が門扉よりも左側にあるからだろう。呼び鈴を押そうとしたら、タイミングよくとーちゃんが出てきたわけで、不自然ではない。問題はこのときのとーちゃんで、まだ家のなかにいるよつばのほうを振り向きもせずに、前を見て「はやくしろー おいてくぞー」と言いつつ門扉を開けているところを風香に挨拶されるのである。道路に面する塀はさして高いものではなく、玄関の扉を開けた瞬間に風香が視界に入るはずだし、門扉までの数歩のあいだで気づかないのは不自然だ。しかし、前を向いているのにとーちゃんは気づかない。とうちゃんはそのくらいぬけてる、ということなのだろうか。
 短いやりとりのなかでとーちゃんが風香に対して美少女と2回言おうとすると、風香はリモコンを振りかぶって殴りかかる素振りを見せる。風香のとーちゃんに対する心理的な距離がずいぶん縮まっている。



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| 『よつばと!』感想 | 04:29 | comments(3) | trackbacks(0) |
『よつばと!』第4話 よつばとテレビ
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 この回、風香が着ているのはJASマークがプリントされたTシャツだ。『よつばと!』を視点の作品、カメラワークのマンガとを考えると、風香のTシャツの意味もわかりやすい。読者の視線の的である。読者が遠慮なく風香の胸を見るためのエクスキューズである。胸の部分にすこし変わったマークがついていることで、読者はうしろめたさを感じることなく風香の胸を凝視できるわけだ。
 第1話で制服から私服に着替えた風香はカエルがプリントされたTシャツを着ていた。目を凝らせば、カエルの絵の下にPYONKICHIとしてある。そう、『ど根性ガエル』である。『ど根性ガエル』といえば、空前絶後の"Tシャツが主人公のマンガ"であり、それを連載開始の回で着せることによって「このマンガの風香はTシャツで行く」と作者が宣言したと解釈してよいだろう。そう考えると、第2話のTシャツにプリントされていたハートマークは胸の谷間の魚拓だったわけだ。


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| 『よつばと!』感想 | 01:41 | comments(6) | trackbacks(0) |
『よつばと!』第3話 よつばと地球温暖化
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 恵那から地球温暖化という言葉を教わったよつばが、とうちゃんの度肝を抜く。「な なんでみそこなうんだ!?」の問いに対してきっぱりと「ちきゅうおんだんかだ!!」。大人の質問に対してちゃんと答えないことの多いよつばには珍しく回答の体を成しているうえに、5文字の熟語。とうちゃんもさぞやびっくりしたことだろう。

幼児に難しいことを言わせるのは楽しい。わしは娘が3歳のころ、あるボケを仕込んだ。「いいか。絵本にフラミンゴが出てきたり、誰かがフラミンゴと言ったら、指をこうするんだ」



 娘は父親の期待に応え、この指の形をマスターした。保育園のおともだちには通じなくても、保母さんならわかってくれるかもしれない。保母さんが気づいてくれなくても、10数年後には友達がつっこんでくれるかもしれない。遠大なボケの仕込みであった。

 脱線ついでに書くと、わしにはフレミングの左手の法則の意味がよくわからなかった。3本の指がそれぞれの力を表わすことは理解できても、なにも左手でやんなくてもいいじゃん、と思っていた。ところが、英語圏の人にとっては、理にかなったものであると最近知った。
 親指(THumb)=THrust(推力)
 人差し指(First finger)=Field(磁界)
 中指(Central finger)=Current(電流)
 ちゃんと語呂合わせができていて記憶法として無理がない。理科教師は、英語もちゃんと教えてください。


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| 『よつばと!』感想 | 01:58 | comments(2) | trackbacks(0) |
『よつばと!』 第2話 よつばとあいさつ
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 自分が描きたい絵のために事実を湾曲してしまうマンガ家がいる。たとえば川三番地。通常、人類の耳は目の横についているものだが、この人の描く人物の耳は口の横についている。上顎と下顎のジョイント部分、顎がはずれるときのはずれちゃうポイント。川三番地のマンガの登場人物は、二枚目だろうが美女だろうが、容赦なく耳が口の横に生えているのだ。始末の悪いことに、この人はここ20年くらい野球マンガしか描いていない(デビューの頃は『おれは万太夫』という学園忍者コメディーを少年マガジンに連載していて、それはそれでおもしろく読めた記憶がある)。野球といえば、肉体以外に様々な道具を使うスポーツである。そして厄介なことに、バッターボックスに立つ打者は、耳あてのついたヘルメットをかぶることになっているのである。



 これが通常のヘルメットだ。頭部を保護するキャップ部分と密接するように耳あてが作られている。そりゃそうだ、人間の耳はそういう位置にあるのだから。しかし、川三番地のキャラクターの耳は、このヘルメットでは保護できない。このヘルメットでもみあげを保護することはできるが、口の横にある耳は丸見えである。
 では、川三番地はどうしたか。並のマンガ家であれば、作画用の資料としてヘルメットの写真なり画像なりを見たときに、人間の耳の正しい位置に気づき、耳をもっと上に描くだろう。しかし川三番地はそうしなかった。ヘルメットのほうを改造したのである。耳あての部分をうにゅーんと引っ張り下げて、無理やり口の横にある耳をカバーする。必然的に、キャップ部分と耳あてをつなぐ謎のブリッジ部分が発生するのである。

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| 『よつばと!』感想 | 06:13 | comments(2) | trackbacks(0) |
『よつばと!』 第1話 よつばとひっこし(後)
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 綾瀬家の3姉妹を年齢順に大中小とすると、第1話での登場は中→小→大で、よつばが出会う順は小→中→大。小と中は入れ替わるが、大の長女・あさぎだけが不動のトリだ。

 次女・風香は自転車に乗って現れる。1ページを3段に区切ったうちの2段を使った大ゴマでの登場だ。ショートヘアのなかからすこしだけのぞく耳の先、ブラウスの第2ボタンと第3ボタンのあいだのちょっとした隙間、制服のスカートのギャザーの影。神経の行き届いた絵だ。ついでに言えば自転車の前カゴの通学カバンの、おそらくナイロン製の手提げヒモの描きかたがうまい。
 育ちがよく、気さくで親切。登場シーンを含む2ページで読者は風香の特性を知らされる。空き家だった隣家の玄関先で段ボールを手に「そういやこれはどこに捨てんのかな…」とつぶやく見知らぬ男を見て、風香はすぐに声をかける。その男がとうちゃんなのだが、とうちゃんは風香に問いかけたわけではなく、ひとりごちただけだ。独り言も写植ではなく、書き文字である。そもそもとうちゃんは風香に背中を向けているから、彼女の存在に気づいてすらいない。
 見知らぬ男に声をかけるのに、風香は逡巡しない。とうちゃんの背中に向かって「こんにちは!」とはっきりと挨拶する。『よつばと!』ではフキダシ内の文字に大小の変化があったり、よつばのセリフだけフォントを変えてあったりと、写植文字の形すら情報として活用している。風香の第一声の「こんにちは」には、それに続く「もしかしてこちらに引っ越してこられた方ですか?」よりもふたまわり大きな文字が使われていて、なにかに集中している人に背後から声をかけるときには声を張る、という風香の意識が自然に表現されている。

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| 『よつばと!』感想 | 05:57 | comments(2) | trackbacks(0) |
『よつばと!』 第1話 よつばとひっこし(前)
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 30年ほど昔、渋谷陽一が「主人公がいきなり走ってるシーンから始まる連載マンガはおもしろい」といったことを書いていた。当時中学生だったわしは、『おれは直角』も『1・2の三四郎』も主人公が走っていたことを思い出し、「いいこと言うなあ」と感心していた。平和なものだ。

『よつばと!』の連載1回目で、よつばは走っている。正確には走っているのはよつばが乗った軽トラックで、それを運転しているのはとうちゃんだ。それでも走っていることに変わりはないが、『おれは直角』や『1・2の三四郎』のような、主人公や作品の勢いを示すための走りではない。『よつばと!』がカメラワークのマンガであることを示すための走り、いや、車の移動なのだと思える。

 こういうことだ。第1話の最初のページは、わずか4コマである。縦3段に区切られた一段目と二段目は1コマずつ、3段目だけが左右2コマに分かれている。さらに詳しく書くと、こんな感じだ。
1コマ目 下から見上げた角度で描かれた1本の街路樹
2コマ目 その街路樹の脇を通りかかっている軽トラック
3コマ目 道端に生えていると思われる向日葵
4コマ目 軽トラックの荷台
 以上である。このページには擬音もセリフもない。静かに軽トラックの動きを描いているだけのように見えるが、わしには「これはカメラワークのマンガです」と作者が宣言しているように読める。

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| 『よつばと!』感想 | 14:38 | comments(19) | trackbacks(0) |
明日も日曜日―――――『よつばと!』(あずまきよひこ)

8巻まで出てます

 偏見や先入観がじゃまをして、よいものと出会い損なうことがある。わしはマンガでこのケースが多い。「子供の読む雑誌」と決めつけて少年ジャンプを敬遠していたため『HUNTER×HUNTER』や『DEATH NOTE』との出会いが何年も遅れた。もっとさかのぼれば小学館漫画賞を取るまで『ARMS』も皆川亮二のことも知らなかった。サンデーは「マンガおたくが作ってる雑誌」という偏見がじゃましていたためだ。あ、挙げた3つのタイトルがすべて横文字ですね。

 しかし、出会い損なっていた、は過去完了形である。いまはもう出会ったあとだ。怪我の功名で、初めて読んで「こりゃあいい!」と思ったとたんにまとめ読みできる。こんなにいいものを知らずに生きてきたという恥ずかしさと、まとめ読みの幸福感が混ざった、妙な興奮を味わえる時間だ。

 いま、久しぶりにその興奮に包まれている。あずまきよひこの『よつばと!』である。あずまきよひこという名前は『あずまんが大王』の作者としてなんとなく知っていたが、作品を読んだことはなかった。どんな絵を描く人なのかすら知らなかった。『あずまんが』というフレーズに、どこか甘ったれた空気を感じて「ケッ」と無視していたのだ。おまけにどこかで「"萌え"のテキスト」的な評価が与えられていると聞き、おたく大嫌いなわしにとってあずまきよひこ=忌避するもの、であった。絵すらも見たことがないのに。先入観おそるべし。
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| 『よつばと!』感想 | 19:36 | comments(2) | trackbacks(0) |